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いよいよ本番か!?・・3月22日、取材9日目
取材の正念場として、ラスト5日間をブルックスで陣取ることにする。

なぜかと言うと、それ以上の滞在は体力的にも、精神的にも、またリスクをも考慮しなくてはいけない。
だらだらと長くそこに居てもいいと言うわけではない。
ラスト5日間に照準を合わせて、集中しようと言うことだ。

数百キロにも及ぶ幅の広いブルックス山脈の南斜面は森林限界付近特有の光景があり、
わりと楽に自分の撮影に適した場所を探し当てることが出来て、好きなポイントでもある。
と言うより、この辺で行ったり来たり、もう数十往復もしているために、自分のホームグランドのようにロケーションを熟知してしまった。
・・・ホームグランドかなあ。

通常はお月さまの移動する位置に合わせて好みの場所に移動しながら撮影することが多い。

さて、昨夜のオーロラの復活の兆しは今夜引き継がれるだろうか・・・


今、私は完全に凍ったと思われる川の上に陣取っている。
今夜の撮影のスタートポイントに決めてその時を待っている。

日が沈み暗くなって来た。

なんという空か。
そういえば何日も雲を見ていないような気がする。
要するにずっと晴れている訳だ。

しかし、いまのこの空はいつもと違う。

自分はいま、ずっと憧れてきた、極北の完璧な宇宙の下に立っていると言う意識が強い。

お月さまがすでに大劇場に登場しているが、やがて宇宙そのものが浮き上がってくるだろう。

なんという静けさか。
空気までもが凍ってしまって、音がなくなってしまったのか。
それとも、いまこの世界のすべては凍りついてしまったのか。
そこには自分が作り出す音しかない。


毎晩のようにそれは体験しているはずなのに、胸騒ぎがしてならない。
今私は文明を離れて、科学的な情報の入手は困難な場所にいるが、
自分の心の中では今夜は特別な夜になるだろうと強く感じていた。いつもは弱気なのに・・・

たまらなくなってその場の世界を記録する。360度の大宙に宇宙が浮かんでくる前の光景である。


1833.jpg


・・・

星々が浮かび上がってきた。
本当はそれだけでも貴重な体験をしているのだ。

昨日だけのフェイントだったのだろうか。
オーロラは沈黙している。

しばらくは月や星などを絡めて撮影、少しでも何かを撮らなくては・・ここまで来るとそのような気持ちが強くなる。

1246.jpg



お月さまが高度を下げてブルックスの山に近づいて来た頃、やっとオーロラがやってきた。
もっと早くからの登場を期待していたので、ちゃんと来てくれて安心・・という感じである。

1284.jpg

カシオペア座がずいぶん高い位置に。ここは北緯67度付近か。


1291.jpg


気がつくと頭上にも動きの速いオーロラが・・こういう場合はもっとも明るいレンズを開放にして時間を短くする。
それでも辛うじて写るかどうかである。
しかも、撮影も一瞬の判断が必要で、もたもたしてると獲物に逃げられてしまう。
と言うか、めったに捕まえられないと言った感じか。

1376.jpg


天頂に北斗七星、頭上にオーロラがいると言うことはもっとも近くにいると言うことである。
それだけにその形を変化させるスピードも速いのだ。


1546.jpg


穏やかなオーロラに包まれている。8mm円周魚眼レンズによる極北の夜空である。  協力:株式会社シグマ

2013.jpg

小さな沼の上で撮影。数日前の恐怖がよみがえり、先へは進めなかった。ここは深そうである。

オーロラがおとなしくなったタイミングを見計らって撮影ポイントを移動する。

2642.jpg


沈みそうで沈まないお月さまは、私のオーロラの撮影には最高の「照明」となる。
この頃、オーロラは絶え間なく、そして徐々に力強くなってきた。

壮大な空のあちらこちらで、オーロラが激しく大地を照らしつけているようだ。
カメラが2台欲しいところだ。
どこを撮影していいのか、全天で生き物のように展開している。

・・・きっと時間の問題だろう。

遠くの空に気を取られていたが、ふと天頂付近に怪しい雰囲気のオーロラが近づいて来ている。
どうも動きが怪しいのである。

予感がした。・・・レンズを魚眼に交換。

2720.jpg



すぐに連続撮影を開始。
あとは「その瞬間」が来て、その時にカメラのバッテリーが生きていることを祈っている。

5~6分の間ジリジリしていた天頂のオーロラが、徐々に明るさを増してきた。

その「ゆらゆら」と動くスピードが増してくる。

「よし、来るぞ!」

緊張が走る。バッテリーはそろそろ限界だろう、いま替えた方がいいのか?
メモリは大丈夫か?

待ってはくれなかった。
まるで導火線に火がついたネズミ花火のように、手がつけられないスピードである。

全天でバラバラの花火大会が始まった!
こうなると後は見ているだけ、祈るだけである。

完璧なオーロラ爆発である。

大宙のすべてがオーロラだらけ、しかもそれらがバラバラにのたうち回っている。
あまりにもスピードが速いために、それを完璧に記録するのは不可能。
魚眼レンズは光学的に明るくないからである。

しかしとりあえず、その一部終始を記録できた!!

2823.jpg


ここで公開出来るのは、その始まりと終わった後のショットだけであるが、
いつか動くオーロラをスライドショーでご覧いただきたい。大きなスクリーンで。



爆発後も、大空の華麗なショーは手をゆるめなかった。
撮影はノンストップ、もう移動するタイミングもない。

3251.jpg


私の人生でこれほど写真を撮り続けた日はないだろう。オーロラ取り放題である。
この夜も多分マイナス40℃前後だったろう。
10時間以上撮影し続けている。


やがて空けてきた。しかし、オーロラは止まない。

きっと明日もこの夢の続きが見られるだろう。

3609.jpg


太陽でとてつもないエネルギーが放出され、この地球の空に注がれているのだろうか。
人類がどんな発明をしても、どんなに大きなプロジェクトを遂行したとしても、この驚異的な自然の力には太刀打ち出来ないだろう。

こんな光景を見られると思わなかった。
こんなに素晴らしいDay-breakを人生の中でどれだけ経験できるだろうか。

自分は苦労してこんな場所までやってきたが、すべての苦労が報われた気持ちになった。

3662.jpg


一晩中、10時間ほどを空を見上げ、絶え間なく撮影し続けた。
おそらく一晩で2,000枚近く撮影したのではないだろうか。


自分の根性と集中力も捨てたものではない。
多分、そう思った瞬間スイッチが切れたようだ。
車を方向転換しようと、一時停止の看板の前で一瞬車を停めたのだが、気がついたらなんとお昼になっていた。

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コメント
この記事へのコメント
すごい瞬間に出会ってよかったですね!・・・
今回の撮影は凄かったようですね。
気温も低いけれど物ともせずに撮影し続けられて最高だったでしょう。
写真の作品も文章も一気に読み終えました。
もうすぐ大阪ですね、頑張って皆様に、感動を与えてください!
2007/05/22(火) 00:19:28 | URL | Mai #-[ 編集]
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