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「森の王者」現る! 9月9日(土)Kluane Lake → Whitehorse → Kluane Lake 7日目
ついにこの同じ場所で3夜過ごしたが、結局目的の写真を撮ることが出来なかった。
まあ、いつもこんなものである。

space.jpg
この場所に車を停めて3連泊したわけだが、見晴らしの良い、開放的な場所である。

お昼近く、目が覚めて寝袋からでる。

「うわ~!」
突然、私の視界に黒っぽい、かなり大きな物体が車のすぐ横を通り過ぎていった!!
慌ててメガネをかけ凝視すると、紛れもなく「クマ」である。

これはシャッターチャンスとばかり、レンズを望遠に変えたところで、クマはすぐ湖の脇の林へ入ってしまった。

Forest.jpg

この林のどこかに潜んでいる。・・・林の脇には小道がついているので、車に乗って様子を伺うとしよう。
この林は湖に沿って1キロほどある。しかし幅は50メートル程であり、それほど深い森ではない。
追跡してみよう。

Grizz-2.jpg

すぐに黒っぽい物体を発見、恐る恐る車から出て、撮影を試みる。
もちろん、車のドアを開放して、すぐに逃げ込める態勢である。

非常に大きく感じる。ただ者ではない異様な雰囲気である。

クマへの恐怖と、また願ってもないシャッターチャンスをものにしようと言う気持ちが混ざり合って、極度に緊張する。

g-1.jpg

しきりに木の実(ラズベリー?)を食べまくっている。顔を上げてくれない。

g-2.jpg

木が邪魔をしてなかなか良いショットをものに出来ず。

g3.jpg

なかなか撮れない。・・・私の方がじれったくなり、恐る恐る近づいてみる。

g4.jpg


背中のこぶは紛れもなくグリズリーである。北米で最強と言われる、時にクロクマ(ブラックベア)をも食ってしまうと言う・・・おそらく体重は200kgは裕にあるだろう。

g5.jpg


時折、じっとこちらの様子を見ている。大方私を無視しているが、一定距離より近づくとこちらを睨みつける機会が多いようだ。

Grizz-3.jpg

顔を上げる。私を睨んでいる。極度の恐怖でピントを合わせる余裕がない。
彼との距離はおよそ7メートル、くるままでの距離も同じくらいか。

自分はじっとしていたら良いのか、一気に走って逃げたら良いのか・・・一瞬考えたが、
恐怖に耐えきれず、一目散に車に走り込んだ。

彼は何もなかったようにムシャムシャとラズベリーを頬張っている。

助かった。

2~3時間も彼を追いかけたが、すっかり姿が見えなくなってしまった。

腹も減ってしまったが、さすがにこの辺で煮炊きをする気持ちにはなれない。
すっかりあきらめ気分、それに今日は先へ進まなくてはならないのだ。

KluaneLake.jpg

どこへ行ってしまったのか。う~ん、残念。

そろそろ行くか!と思い立った時、ふと50メートル山側に走るハイウェイで1台の車が止まっている。
しかもサンルーフから一人身を乗り出してカメラをかまえているではないか。

あっ、これは間違いない!!

そこからハイウェイまで車でいくには1キロほど遠回りをしなくてはならない。
私は躊躇せず、望遠レンズ付きのカメラのみをつかみ、車から飛び降り、土手の上のハイウェイまでダッシュした。

やはり彼は、いつの間にかのこのことハイウェイを横切って遥か向こうに行ってしまっていた。

2-1.jpg

この汚くてもったりしたお尻の感じからして、これはまさしく私がしばらく追い回していた彼である。
それにしてもこんなに大きかったのか。

2-2.jpg

何やら土を掘り返していて、えさを隠しているのか、それともかくしてあったものを探しているのか。

いずれにせよ、こういう場面にはあまりしつこくしない方がいいのだろうとわかっていたが、私にしてみればそうもいかない。

簡単には遭遇出来ない「大物」である。

2-4.jpg

ジリジリ近づいてくる私をさけるように、やがて彼は私と反対の方向へ逃げるように移動を始めた。

しかし私も出来るだけ静かに追いかける。

2-5.jpg

彼はしきりに執拗に追い回す私に対して明らかに「不快」な仕草というか、顔つきになってきた。
それは大変恐ろしく、今まで無関心を装っていた彼とは違ってきた。

「ちょっとまずいかな」

気がつくとサンルーフから撮影している車まで50メートル、私はハイウェイから降りて(ハイウェイは3メートルくらいの高さだったと思う)、彼と同じ高さの場所にいた。

その時彼は明らかに私に向かって不快感を示した。

と、その時すでに逃げる体制になかった。というより、逃げる場所が全くない。
そして私を血走った目で睨みつける彼の前で、私は自分でももう動くことが出来ない、金縛り状態である。

2-6.jpg


何と、彼は思いもよらず私に向かってきたのである。

彼は私からおよそ7メートル前で来て立ち上がり、うなり声をあげた!!


そして急にその姿をひるがえし、森の奥へ弾丸のようなスピードで走り去った。
その機敏で予想もしない動きを目の当たりにして、私は腰が抜けてしまった。


おそらく私が動けなかったことが幸いしたのだろう。
私はしっかり彼の目の前で逃げようともせず撮影を続け立ちはだかったのだ。



このブログではすべての写真は公開できないが、この場面はいつか「スライドショー」でご覧いただきたい。

私の命がかかったシーンである。


6.jpg

3日滞在したKluane Lakeを後にする。オーロラの撮影はさっぱりであったが、いろいろとあったような気がする。
それにしてもグリズリーとの劇的な遭遇の余韻がジーンと残っていて、やや放心状態であった。

食料などの供給と日本との通信のためWhitehorseに向かった。

Whitehorseの手前100kmほどでガソリンの残量が妙に少なくなっている気がした。
車種によってメーターの進み方に癖があるが、この車は途中から加速するように減り方が早いような気がした。

さて、Whitehorseまでかなり微妙である。急に心配になって低燃費運転モードに切り替える。
アクセルやブレーキを無駄に踏まない、極力惰性を生かした省エネ運転である。

「ちょっとまずいかな。対向車でガソリンタンクを積んだ車があれば売ってもらおうか、いくらで買えるかな。」

低燃費運転の甲斐があってWhitehorseの町が見えてきた。
「ああ、よかった!」
燃料タンクの針はすでにどん底で止まっていた。いつガス欠になってもおかしくない状態であった。

パソコンのネット通信を当てにしていたレストランへ行ってみる。私のパソコンでは通信できないことがわかった。
日本や世界で何が起きているのかまったくわからない。誰かが急な用事でメールをくれていても私には知る由もなかった。
「まあ、ここまで来てそれもいいのかな」

この場に及んで、車のエンジンオイルを早めに交換するようにという警告サインが出ている。
今までいくつかのレンタカートラブルに巻き込まれている私にとって、「ああ、またか」と言った気分である。
空港の金髪の受付嬢に「どうしたらいいだろう?」と聞いてみた。
月曜日には工場が開くのでそれまで車を乗るな、に近いようなことを言う。
今日は土曜日である。

そうくるかな?と思っていたので、冗談ではない、私は今すぐフェアバンクスに行かなくてはならないのだ。そこで大事な用事がある。と突っぱねる。

金髪嬢は「まあ、それなら先へ進んで、早い段階で途中の町で交換するように」と折れたので、作戦成功である。

気がつくと今日はまだ何も食べていないことに気がついた。
目が覚めてからグリズリー騒動、また熊がうろうろしている場所で飯の煮炊きをする気分になれなかった。

スーパーで食料を調達する。久しぶりにステーキでも食べたい気分だった。

スターバックスで久しぶりにおいしいコーヒーを飲んだ頃にはすっかり夜になってしまった。

さあアラスカへ向かって進もう。


アラスカハイウェイをアラスカフェアバンクスに向かって走るが、結局グリズリー事件があったKluane Lakeあたりで深夜を迎える。

皮肉にも、熊のいる森の近くで先ほどスーパーで手に入れたステーキを焼いて食べることになった。
私は別にそれを望んでいた訳ではなく、たまたま成り行きでそうなっただけである。

私の心の中で熊の恐怖も絶頂に達しているので、森の方が気になるが、車のクラクションなどを鳴らし熊よけにした。
しかし風向きによっては熊のいる漆黒の闇へステーキのいい匂いがばらまかれる可能性がある。
思い出したように熊の大嫌いな唐辛子をどっさりフライパンに放り込む。
それは私にとっては大好物であった。

真空パックされたラムステーキを開封する。この国の食肉は匂いがきついなあと思うが、好物のズッキーニとともに豪快に焼く。

日付が変わる頃、暗闇の中でやっと本日最初の飯にありつけた。
しかも久しぶりのステーキである。

ところが、喜びの絶頂は一瞬にして悪夢に変わった。
口の中に今までに経験したことがない、言葉ではうまく表現できない「すごい状況」が広がった。

ごちそうの肉は見事に腐敗していた。
それをレアに近い状態で頬張り、恐ろしい味をかみしめてしまった。

次の瞬間、脳裏を横切った。
「これを吐き出してしまったら匂いで熊が寄り付くのではないか!」

熊への恐怖はその恐ろしいものを飲み込んでしまうという最悪の結果へ追いやった。


撮影のために陣取ったのは、結局前日まで3日間いた場所である。すっかり曇ってしまった。

しばし空の様子を伺うが、いっこうに晴れそうにない。
そして日中、熊と出会った場所で暗闇の中外で仕事をするのは気が引けた。

ここからアラスカのフェアバンクスまで800kmくらいもあるだろうか。
そして私の目指すブルックス山脈まではさらに500kmほどもある。

いろいろあってここで眠る気分でもないし、このまま休まずに先へ進もうか。
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コメント
この記事へのコメント
こわっ!
つい最近日本でもクマの被害に遭ったというニュースが報じられたばかり。
怖い者見たさ・・・とはいえ、襲われても誰も助けに来てくれないんですから
危険な事はしないように・・・してくださいね~。
2006/09/23(土) 20:36:19 | URL | Mai #-[ 編集]
わぁ! きれい!!
なんてきれいな秋色でしょう…写真に見とれてしまいました。
それにしても、わぁ! こわっ!! 正面じゃないですか……。
そのうえ大きい!ご無事でなによりでした。
ところで手のやけどはいかがですか?
2006/09/23(土) 21:43:29 | URL | Tomo #-[ 編集]
すばらしい!
中垣さん
この至近距離とはすばらしい!
なんかとっても緊張感のつたわる写真です。
今度は一緒にカトマイ行きませんか?
2006/09/24(日) 10:05:43 | URL | 夏彦のボス #-[ 編集]
注意を!
なんとまたヒグマに遭遇とは!
地元札幌でもヒグマ騒動になっています。
西区のヒグマはついに射殺までされまして...。
どうか、くれぐれも気をつけて!
2006/09/29(金) 20:25:25 | URL | #-[ 編集]
ドキドキ !!
追加の写真スゴイ!写真なのに胸がドキドキしています。
でも危なかったですよね。こんな命がけの写真を見せてもらって
私は幸せです。ご無事でよかった!
2006/10/06(金) 10:25:36 | URL | Tomo #-[ 編集]
すごい写真の連続!
恐怖で身体が動かなくなるほどの経験が
この迫力の写真となって私達の目に迫ってくるんでしょうけれど
命あってのものだね・・・
写したいという気持ちは解かりますけれど
本当に気をつけて下さいネ。
これからもまだまだオーロラの写真を見せて欲しいんですから~
2006/10/11(水) 11:12:05 | URL | Mai #-[ 編集]
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